書肆ミスカ コラム


 


 

魚田 南著『カラスのいとし京都めし』

旅先の帰り際に土産ものを探すとき、ご当地モノのマンガや小説作品がないものか探しに新刊書店を見てみることがあります。本書は、そんなときに見つけた作品の一つです。私にとっては、珍し食べ物の絵柄は美味しそうで、主人公がカラス(の変化)というのも、カラスに興味ある私として相性がよいものでした。京の食文化に関心のある方にお薦めです。
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井上 淳哉、 左古 文男著『四万十怪奇譚』

四国の足摺岬に星空の写真をとりにいったことがあります。中継地点にある中村という土地は、土佐の小京都とも呼ばれ、歴史の息づく街と聞きました。案内の看板に、「陰陽道」との関連を示唆する一文を見つけ、いつかよく調べてみたいと思っています。むかしから妖怪譚や怪奇譚も多く伝わっているらしく、そこで見つけたご当地マンガが本書です。ちょっと珍しいでしょう。本当、マンガ文化のすそのは広いですね。
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11月公開のアニメ映画

今月公開が予定されているアニメ映画『火の鳥 エデンの花』『鬼太郎誕生』、両方とも見たいです。『火の鳥』は小学生の頃、マンガ少年別冊の大判で読み感動しました。
「現代文明史より以前にもっと進んだ文明があった」という物語の定番も、その時に知り、驚きと共に何故か恐ろしい気もしたものです。今は、同じ設定でも少し異なる受け止め方おしています
「鬼太郎」の方は、かすかな記憶に目玉おやじ誕生のエピソードだったのではないか絵柄が浮かんでくるのですが、判然としません。本編で確認したいと思っています。
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私見、ラヴクラフト

ラヴクラフトについて、尋ねられたことがあります。興味はあるけれど、どの話から読み出しものかといった問いでした。残念ながら、私自身、田辺剛のマンガから入った新参者なので、気の利いた返答もできないままお茶を濁してしまったのですが、おそらくウェルベックによる作家の評論が翻訳されてから、新訳も続き、再び認知度が高くなっているようです。ラヴクラフトについては、様々な方が論じていますが、私は『ユリイカ』で稲生 平太郎が、高橋 洋との対談で語っていた捉え方が一番すんなりと飲み込めました。科学全盛の時代に、居場所を失った恐怖の源泉を未開の宇宙と古代史に寄せたというものです。確かに、作品を読むと、壮大な宇宙の歴史の中で人類が小さく相対化され、無力であることを感じさせるものがあります。
 そう考えてみると私がラヴクラフトを読むのは、この「どん底体験」を仮想的に味わいたいときのようです。そして読後は、このような小説世界の状況でも人間存在自体は維持されていることに安心感を覚えるのです。ある種、これは私にとってのラヴクラフトの効用と考えています。
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司馬遼太郎の『妖怪』

司馬遼太郎著『妖怪』は、応仁の乱頃の室町時代の混乱した世を背景に、自分が貴種流離譚の主人公だと信じる若者の成長物語です。子供の頃この小説が好きで、当時は講談社で一冊本だったぶ厚い文庫本を随分と読み込みました。
 特に幻術の描写と、その幻術に拮抗する兵法の精神的境地の対比が興味深く、また、癖のある登場人物たちが、今風に言えばキャラ立ちしており、飽きませんでした。アニメ化しても充分、今の視聴者に受け入れられる世界と思います。最近流行りのマンガ原作TVアニメを見ていて、ふと思い出しました。






 

松本大洋著『東京ヒゴロ』

松本大洋著『東京ヒゴロ』第三巻が新刊で出ているのに気づき入手しました。胸の温まるストーリー展開を、楽しみに読んでいる作品です。ゆっくり味わいたいと思います。






 

唐隠著 『蘭亭序之謎』

中国唐代を舞台にしたミステリィーでは、映画『王朝の陰謀』が知られていると思います。則天武后の時代の実在した宰相、狄 仁傑(作中、ディー、と呼ばれる)を主人公にしたものです。本書は、同じ唐代を舞台にした推理小説です。近年は中華圏の、小説が幅広く翻訳されているようで、こうした本格的なものも文庫で手軽に入手できるようになりました。上下巻で総ページはそれなりにあるものです。少しずつ読み進めようと思います。






 

鬼太郎は何と闘っていたのか。

町の古本屋で、文庫版の『ゲゲゲの鬼太郎』を見つけたので手に入れました。四〇年以上前の旧版です。よくスーパーの本屋で立ち読みしていた懐かしい版です。 やはり、オリジナルの鬼太郎は味があります。高度成長期時代の日本の町の雰囲気も伝わりタイムスリップしたような気分になりました。時代の雰囲気が変わったのは、それだけではありません。あるエピソードで、鬼太郎は、気象関係の妖怪を退治するのですが、もともとその妖怪は、自然に反する人間の行為を見かねて暴れ出したものなのです。
 今時であれば、妖怪の方を応援する声も聞こえてきそな気がします。


































 

ギリシャ神話の画集

ギリシャ神話に関して、手軽に概観できるような本を探していました。たまたま美術書のコーナーで『西洋美術に描かれたギリシャ神話神様図鑑』という本を見つけました。ギリシャ神話の神々を一人ずつ、絵画を添えて説明しています。ハードカバーの文庫本サイズと携帯もしやすくまさに探していたものでした。さっそく入手しカバンに忍ばせています。

































 

不思議な踊り場

とある地下鉄の駅から山手線にのりかえる地上出口に向かう階段なのですが、たいして段数もない小さなその階段を登る途中の踊り場で、その先から数段上がるところなのですが、むかしからそこを通過する時に、空間が歪んだような感じがする場所があります。おそらく設計上偶然か、故意にかそうした錯覚をもよおすような構造になっているものかと思うのですが、いつもそのどちらだろうと不思議に思います。設計者の遊びごころであれば、サムアップですし、偶然なら何が要因か気になりますし、もしそれ以外の何かであれば大いに興味がわきます。